やさしいということ EMBRASSER
2005年2月21日一番見たかったこれが、
横浜駅になかったことがはじまり。
これ抜きで、いろいろ見て、二択までいって、
わたしと彼氏のいいと言ったものが違って、
「あなたが譲らないんだったら
俺が譲るしかないじゃん?」
と、言われたのが、きっかけで。
わかりやすく単刀直入に言えば、
パニックに陥ってしまったのだ。
気が遠くなった。
これ、本当に。
背筋がすうっと寒くなって、
気持ち悪くなったの。
近くのコーヒースタンドで、
泣いてしまい、
その後も20分ほど黙り込んでしまったわたしを、
彼氏は責めずに待ってくれていた。
何も言わなかったけど、
それでも待ってくれていた。
途中、
「結局言ってたヤツが見たいんでしょう?
どこに行けば見られるの?」
と、訊いてくれたんだけど、
答えられなかったのだ。
そこから煙草三本分、沈黙のままで過ごし。
トイレでちょっと気を落ち着けて、
戻っていったら、
「あ、俺、チャックあいてた」
と、笑わせてくれることを言ってくれちゃったので、
話すきっかけができた。
「もう一つの、見に行ってもらってもイイ?」
と、石川町まで連れ出して、
元町で発見し、
試着して、
どうかなぁと言っていたら、
彼氏が、
「いいよ」
と言ってくれちゃったのだ。
それはあっさりしたもので、
わたしは何度もいいの?とききなおし、
彼は何度もいいよと言ってくれた。
調子のいいことに、
それからわたしはご機嫌で、
何だか泣き落としたみたいだなぁと思った。
刻印とか決めて、
ご飯も食べて、
満足で帰ってきたんだけれど。
新幹線の中で、ふと思った。
我が侭だったかなぁ、と。
彼氏の方が、結婚指輪に関しては熱心で、
見始めたときから、
これがいいというのがあったのだ。
ロルの、波のかたちのもの。
決めたのとは全く違った、
ちょっとぼてっとした、流線型のリング。
ずっと、変わらず、
「かっこいい」
と言っていたのに。
譲れないのはやっぱりわたしの方で、
譲る彼はやさしいんじゃないかと思った。
だって、泣き落としたのだから。
でも、あそこでまあいいやって言っていたら、
わたしはずっと後悔した。
言えば良かったって。
何で彼氏相手だと言えないんだろうって。
でも、言うのに何も、泣かなくても良かったのだと思う。
そのときは怖くて、それで泣いてしまったのだけれど、
彼氏からはそんなことはわからないのだし。
イヤで泣いてると思われても仕方ない。
ごめんね。
一生のことなのに。
わたしは、わたしが優しくあることだけに気持ちがいっていて、
正直気付いていなかったけど、
あのひとは、本当に、やさしいな。
あのひとのは、純粋でやさしい。
言葉や態度は優しくないけど、
芯がやさしいと思うの。
あのひとで良かった。
でもあのひとは、
わたしで良かったのだろうか。
うーん…
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